今考えるべき企業防衛としての災害対策 …大地震対応のBCP(事業継続計画)を考える
2016/11/10 更新
□地震危険の増大
5年前の東北大地震、そして今回の熊本地震においても上場企業だけで100社近くが
「営業・操業停止」に追い込まれ、事業継続に多大の支障を来たしました。
日本列島は数百年ぶりに地震の活動期に入ったと考えられ、巨大地震の発生が迫りつつあります。
□大企業のBCP策定が完了
既に大企業ではBCPの策定はほぼ完了し、運用と見直しのフェーズに移行しつつあります。
今BCPの新規策定は、中堅~中小企業が中心となっています。
まだ多くの方は、BCPは大企業や大工場をもつ企業が作成するもので、中小企業はさほど必要ないと思われているのではないでしょうか?
大企業は数多くの従業員を統制する必要性から策定していることも多いのですが、中小企業は少ない資本を守らなければ企業そのものが立ち行かなくなるため、早期の復旧や立て直しの計画が必要となってきます。
BCPは資本の小さい脆弱な会社だからこそ必要となる計画なのです。
□事業構造の変化と時代の要請
企業活動が経済社会全体のサプライチェーンに組み込まれている現代では、直接の地震被害を受けていない会社でも、サプライチェーンの影響で倒産してしまった二次的被害が目立ちました。
サプライチェーンを守るため取引先やお客様から要請で、BCP策定が必須とされる時代になっているのです。
□BCPを策定する上でのポイント
従業員の生命や会社の資産を守ることはもちろんですが、BCPでは優先すべき業務を絞り込み経営資源の弱点を抽出し、より効果的で適切な見直しを行うことが必要となります。
何が重要業務であるか、その業務を復旧させるため必要な措置は何か、緊急時に間違いのない対応を行い重大な危機に陥ることを回避することが策定のポイントです。
□防災対策とBCPの違い
防災対策は、従業員の安全確保や建物等の資産保全を目的とした設備、体制の整備が中心でした。
一方BCPの場合は、これらに加えて非常事態がどれだけ事業に影響を及ぼすのか(ビジネスインパクト)を分析し、適切な対応方法とリスクヘッジ対策を策定しておくことが重要です。
何を優先すべきか、また復旧までの目標期間の設定と、リスクを回避するための代替手段や保険ヘッジも検討しておかなければなりません。
事業回復・完全復旧のフェーズにおいては、取引先の流出を防止し、人員や休業中の欠損を
埋めて、事業の回復と継続性を確保できるようにしなければなりません。
ここまでのリスクマネジメントシステム全体、すなわちBCM(事業継続管理)までを構築して行くことが望まれます。
□私たちにできること
リスク管理のステージは「保有」「移転」「低減」「回避」の4つのフェーズに類別することができます。
企業はまずBCP策定とBCM実行により、リスクの「低減」を図ることが第一です。
どうしても低減できないリスク要素(事業)からは「回避」を検討し、一定自社で消化できるリスクは「保有」することも必要です。
そして低減しきれないリスクは「移転」することで、安定的なBCPを構築できるのです。
リスク移転の方策の一つが「保険」への加入です。
私どもは、リスクヘッジ手段としての保険設計はもちろんのこと、損害保険会社が用意している業種別のBCP策定プログラムやBCPについての相談サービス、建物の耐震診断サービス等の各種ツールをご提供し、皆様のBCP作成のお手伝いをさせていただいております。
□終わりに
以上のように、今まさに中堅・中小企業には早急なBCPの策定が要請されております。
また今後は自社独自のBCP策定にとどまらず、ISO22301の取得を求められる可能性も高まると言われております。
是非このコラムをご覧いただいたのを機に、BCPの作成とリスクヘッジについてご相談いただければと思います。